◆◇◆ 卒業論文 No.01 ◆◇◆             Back
■ 【 著 者 】田毛 英明 ( 教育学部・中学校教員養成課程・保健体育専攻 )
■ 【 題 目 】陸上競技における混成種目採点プログラムの作成とその応用 〜 中学校三種競技を例として 〜
【 論文の概要 】
 はじめに
混成競技の競技記録から得点への換算は、多くの競技会で、(財)日本陸上競技連盟監修の採点表をもとに行われている。しかし、現状では、その採点表をもとに、手計算をしている大会が多く、競技途中の個人の総得点や順位等の掲示は行われていないのが実情である。そこで、本研究では、混成競技の大会運営を円滑に進めるために、中学校三種競技における、得点換算の自動処理システムを作成することにした。
 方 法
競技記録を得点に換算する方法は、二通り考えられる。一つは、既存の換算表をデータ・ベース化する方法であり、もう一つは、換算表から競技記録と得点の関係を回帰式であらわす方法である。しかし、既存の換算表をデータ・ベース化する方法は、換算表に記載されていない競技記録を換算規則に従って補間的に入力しなければならず、膨大な時間を要する。このため本研究では、後者の競技記録と得点の関係を回帰式であらわす方法をとった。
本研究で作成した換算プログラムは、競技記録と得点の関係を線形回帰であらわすことによって、自動計算するものであり、その作成手順は、Microsoft Excel 2000 をベースに、VBA言語
注1) を用いて、換算のためのユーザー定義関数注2) を 作成し、これを「マクロ」として、表計算ソフト( Excel 2000 )に貼り付ける手法をとっている。
注1):VBA言語とは、Visual Basic for Applications の略称である。ユーザー定義関数などのプログラミングを作成するとき用いる言語のことである。
注2):ユーザー定義関数とは、Excel 2000上で独自に作成し、定義づける関数のことである。
 結果及び考察
研究の結果、次のことが明らかになった。

1):三種競技の記録と得点の関係をみるために、これらを線形近似(y=mX+b)、多項式近似(y=b+c1X+c2X)、対数 近似(y=c lnX+b)、指数近似(y=cebx) をした結果、トラック種目、フィールド種目いずれも二次の多項式近似をした 場合に誤差が最も小さくなった。
2):この結果は、従前から言われてきた、混成競技の記録と得点の関係は、トラック種目は「指数曲線的」、フィールド競技 「対数曲線的」という定説とは一致しなかった。
3):また、現実に競技記録と得点の関係は、「男子走高跳」を除いては、複数の連続した異なる直線関係にあり、単一の回帰式で競技記録から得点を「誤差=0」で予測することは不可能である。
4):競技記録と得点の関係は、一定区間ごとに線形回帰をすることで、「誤差=0」の換算が可能であった。
5):三種競技の中では、唯一「男子走高跳」だけが、単一の回帰式で得点に換算することができた。
6):他の種目は、すべて2〜73個の複数の回帰式を用いることで、得点への換算が可能であった。
7):本研究で作成した換算処理システムの実用性について、実際に行われた大会でのデータを用いて検討した結果、このシステムを利用することで、競技記録から得点の換算は自動的に行われ、かつ、競技途中の個人の総得点や順位の出力が容易にできるため、大会運営をより円滑に進めることが可能であると考える。

本研究で作成した換算処理システムを利用することで、大規模ネットワークシステムを持たない競技場でも簡単に記録のコンピュータ処理ができるようになり、現状よりも大会運営に関わる時間の短縮が期待できる。本研究では、中学校三種競技についてのみ検討したが、同様な手法で、一般男子十種競技用、五種競技用、一般女子七種競技用、高校男子八種競技用、高校女子七種競技用の5種類の処理システムが導入されれば、より実用的なものになると考える。